法令から見る時事問題~コンテンツ業界における巨額横領事件と外為法

私の世代では「リングにかけろ」でお馴染みだった著名漫画家さんの関係者による巨額横領事件には驚きました。数年前に起こった日本人大リーガー専属通訳の横領事件を想起しました。

一般にはあまり知られていないことかもしれませんが、1回当たり3千万円を超えるライセンス料を海外から受け取った日本の企業等は、外為法上、日銀経由(統計情報として利用される)で財務大臣に報告する義務があります(日本国内の銀行口座で海外送金を受け取った場合は銀行経由で報告)。罰則規定も設けられています。

関係法令を見てみると、

「外国為替及び外国貿易法(目的)
第一条 この法律は、外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、もつて国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(支払等の報告)
第五十五条 居住者若しくは非居住者が本邦から外国へ向けた支払若しくは外国から本邦へ向けた支払の受領をしたとき、又は本邦若しくは外国において居住者が非居住者との間で支払等をしたときは、政令で定める場合を除き、当該居住者若しくは非居住者又は当該居住者は、政令で定めるところにより、これらの支払等の内容、実行の時期その他の政令で定める事項を主務大臣に報告しなければならない。(2項割愛)

第七十一条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。~中略~
二 第五十五条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。(以下省略)」

「外国為替令(支払等の報告)
第十八条の四 法第五十五条第一項に規定する政令で定める場合は、居住者又は非居住者がした支払等が次に掲げる支払等のいずれかに該当する場合とする。
一 財務省令又は経済産業省令で定める小規模の支払等(以下省略)」

「外国為替の取引等の報告に関する省令(報告を要しない支払等の範囲)
第一条 外国為替令(以下「令」という。)第十八条の四第一項第一号に規定する財務省令で定める小規模の支払等(支払又は支払の受領をいう。以下同じ。)は、三千万円に相当する額以下の支払等とする。」

銀行員時代、この報告書のことをいつも”ボウガイ”と呼んでいました。当時は確か「貿易外支払い等報告書」という名称でした(細かいことですが本邦の通関手続きを伴う貨物の輸出入代金の受払はこの報告の対象ではありません)。以前は報告対象となる下限金額は5百万円だったので、下限金額は引き上げられましたが、マネロン対策の必要上、金融機関に課せられる本人確認責任ははるかに重くなっているのだろうと推察します。

報道にあるように、横領した人物の経営するダミー企業が、本来の著作権者に無断で海外企業と締結した架空のライセンス契約に基づいて、海外企業がダミー会社にライセンス料を支払っていたのであれば、ライセンス料を支払った海外企業からも、別途訴えられることになるのでしょうが、そのあたりの事実究明は今後進んでいくでしょう。

以上法令出典:e-GOV法令検索

日本銀行ホームページ 外為法に関する手続き も参照しました。

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