法令から見る時事問題~「まんじゅうや」は無効投票

地方首長選挙で「まんじゅうや」と書かれた票の有効性を巡る裁判がありました。

公職選挙法に次のような条文があります。

(開票の場合の投票の効力の決定)
第六十七条 投票の効力は、開票立会人の意見を聴き、開票管理者が決定しなければならない。その決定に当つては、第六十八条の規定に反しない限りにおいて、その投票した選挙人の意思が明白であれば、その投票を有効とするようにしなければならない。

(無効投票)
第六十八条 衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙の投票については、次の各号のいずれかに該当するものは、無効とする。
一 所定の用紙を用いないもの
      ~中略~
六 公職の候補者の氏名のほか、他事を記載したもの。ただし、職業、身分、住所又は敬称の類を記入したものは、この限りでない。
七 公職の候補者の氏名を自書しないもの
八 公職の候補者の何人を記載したかを確認し難いもの

この二つの条文を素直に読めば、高裁の判決を待つまでもなく、「まんじゅうや」が有効票となる可能性はもともと低かった(ほぼゼロだった)のではないだろうかと思います。もちろん裁判を受ける権利は万人に認められていて訴訟を提起するのは個人の自由ですが、公職にある人として合理的な行動であったのか否かは別問題かもしれません。次回の選挙で有権者が改めて判断するのでしょう。

なお法律上は、候補者のみならず、選挙人が不服申立てすることも可能です。ただし ”ここでいう「選挙人」とは選挙の効力が争われている当該選挙区に属する選挙人に限られ” ます。(引用文献:行政法概説Ⅱ行政救済法【第8版】宇賀克也/有斐閣426頁)

(地方公共団体の議会の議員又は長の当選の効力に関する異議の申出及び審査の申立て)
第二百六条 地方公共団体の議会の議員又は長の選挙においてその当選の効力に関し不服がある選挙人又は公職の候補者は、第百一条の三第二項又は第百六条第二項の規定による告示の日から十四日以内に、文書で当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に対して異議を申し出ることができる。
2 前項の規定により市町村の選挙管理委員会に対して異議を申し出た場合において、その決定に不服がある者は、その決定書の交付を受けた日又は第二百十五条の規定による告示の日から二十一日以内に、文書で当該都道府県の選挙管理委員会に審査を申し立てることができる。

(地方公共団体の議会の議員及び長の当選の効力に関する訴訟)
第二百七条 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において、前条第一項の異議の申出若しくは同条第二項の審査の申立てに対する都道府県の選挙管理委員会の決定又は裁決に不服がある者は、当該都道府県の選挙管理委員会を被告とし、その決定書若しくは裁決書の交付を受けた日又は第二百十五条の規定による告示の日から三十日以内に、高等裁判所に訴訟を提起することができる。
(2項割愛)

もしも実際に「まんじゅうや」と書いて投票した人や当該候補者の支持者が不服を申立て、訴訟を提起していたのなら、選挙管理委員会や司法の判断はまた違っていたのかもしれませんが、そうした動きがなかったということは選挙人にとってこの件は大きな関心事ではなかったのだと思います。

法令出典:e-GOV法令検索

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