覚書締結は吉報か否か

人類の戦争史上稀に見る、攻め込まれた方に有利な条件で停戦が成立した、ように素人には見えてしまう覚書ですが、何はともあれ停戦が成立した事実は素直に良かったと思います。少なくとも無用な殺戮はなくなるという意味で。

ところで、世界ではかねてよりあれほど脱炭素が標榜され、切望されてきたのに、実は一向に進んでいなかった、いわば張子の虎的なエネルギー政策であったという厳しい現実が今一度認識できたのは、ある意味、この戦争の唯一にして最大の成果かもしれません。これで人類として本当に進むべき方向、本当に信ずるべき施策が浮き彫りになったのではないでしょうか。

マッチポンプという言葉がこれほどしっくりくる国際政治の局面は珍しいのかもしれませんが、努めて好意的に解釈するとしたら、人類が進むべき方向を図らずも示唆してくださったのであり、その点には心から感謝したいと思います。

もしイランの原油輸出が本当に自由になると、これまで市場実勢比安価に原油を調達できていた一部の国々にとってはコストアップになります。他方、図らずも戦費調達力大幅増強の恩恵を受けた某国は、原油市況が落ち着くことで漁夫の利を返上しなくてはならなくなります。

こうした事象が世界経済にとってどのようなインパクトを及ぼすかは私にはわかりませんが、安価な原油を調達できていた国々は一気呵成に再生エネルギーシフトを推し進めるのかもしれません。そうすると、結果的に脱炭素社会の到来が早まるかもしれない、などと楽観的に論理づけることができれば、この戦争は100%無意味ではなかったとも言えなくもない。

ただし、足許のガソリン価格高騰を嫌気して大幅な譲歩をせざるえなかったことは11月の選挙において結果的に高くつくのではないか、つまり支持基盤の大逆襲が始まるのではないかという不安は高まります。やっぱりメリットを得たのは攻め込まれた方だった、となりかねないという意味では、今回の戦争は歴史的に稀有なものであったと後代の歴史家が総括するのではないかと思います。

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