国旗損壊罪という愛国精神を重んじる謎の法律が成立しました。このままだとそのうち”国歌不起立・不斉唱罪”とか、”尖閣諸島記念日制定法”とか、”靖国神社参拝推奨法”とか、精神論に基づく法案が続々と出てきはしないかと心配になります。国旗を踏んづけたり、悪意を持って損壊させたりすることはいうまでもなく好ましいことではありません。そんなことをしたいと思ったことも一度もありません。しかし表現の自由、内心の自由、言論の自由は憲法で認められている国民の基本的な権利です。
私自身は海外駐在を相応の時間経験したこともあり、「日本に生まれて本当に良かった。日本人で本当に良かった。」と常日頃から感謝しており、愛国心の塊のような人間ですが、それはそれ法律は法律で、基本的な権利を侵害しかねない法律がいとも簡単に成立することには違和感を覚えます。現実的には起こりえないでしょうが、将来、もしも国旗損壊罪で有罪の実刑判決を受けた人が最高裁まで争ったら、”違憲”となる可能性は低くないと思います。ひょっとしたら第一審で違憲になるかもしれませんが、その場合、検察側が控訴するのでしょうか。
皇室典範もよくわからないうちに改正が成立しました。養子自体が良くない制度とは思いませんが、性別に関係なくまずは長子に皇位継承権があって、ご本人がそれを辞退する道もあらかじめ用意しておいて、ほかに方法がなければいったん養子等で皇統を維持するということでも良かったのではないかと思います。幸い現時点では皇位継承権のある方が決まっているのだから問題は起こりませんが、将来への備えとしての改正の必要性は理解できます。
しかしもしも、将来養子となった人が選んだ配偶者が日本人ではなかったら、若しくは異性ではなかったら、その時、国民や政府はいったいどのように反応することになるのでしょうか?私のようなずぶの素人でも心配するくらいのことは、国会でも審議されたのだろうとひそかに期待していますが、そのような形跡が今のところ見られませんし、おそらく静謐な議論になるはずもないので、議論も審議もされていないのでしょう。そもそもこんなことを思っても口に出したりすること自体が不敬であるとされるのでしょう。
ペルーに駐在していた2019年、日本人移住120周年記念でペルーにお越しになった当時の眞子内親王殿下に現地駐在員の一人として謁見する機会をいただきました。ものすごいオーラを感じました。光栄なことに2分程度直接お話する機会を得ましたが、初対面の民間人に対してこれほど熱心に御傾聴いただけるのかと感動した記憶があります。(私の話が長すぎたので、あとに並んでいた駐在員仲間から後日怒られました。多分冗談交じりです。)その後ほどなくして皇室を離脱されたのは残念であった一方で、あのお仕事を終身で続けるのは本当に大変なことだろうと下々の庶民でありながらも想像することは十分にできました。
国民のひとりとして皇室のお役目はとても重要であると日々思います。とりわけ自然災害等で困窮している国民はとても元気づけられます。今後もずっと我が国の象徴として、皇室関係者のみなさまが本当にお気持ちよく公務をお続けになることができる態勢を構築すること、それがひとりの国民として今の国会に期待するところです。誰が天皇になられても、とてつもないオーラを感じられる、普通の人にはない、絶対性というか唯一性というか、うまい表現が見当たりませんが、そんな特別な何かを持つ方であって欲しいと思います。
衆議院で圧倒的多数を占める与党が今現在多くの民意を背負っていることは事実ですが、それは長くても4年間という任期の限られた時間内で有効なことでしかありません。次回冬季オリンピックとワールドカップが開催される2030年までです。4年間は過ぎてしまえば本当に短い時間です。しかも国会は半年しか会期がないので、実質2年間です。解散がなく、任期を全うしても4回しかない通常国会(細かいことですが、憲法上は常会と言います)のうち1回がほぼ終わりました。国権の最高機関に付与された時間とエネルギーの25%相当が投じられた結果、私たち国民が得たものはいったい何だったのでしょうか。