災害時の安全配慮義務について~BCPの根幹~

令和8年熊本地震の被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

大型ショッピングセンターにおいておきた事故は本当に残念でした。いったん避難したにもかかわらず、売上金を金庫に収納するために建物に戻って不幸にもお亡くなりになったのは本当に責任感の強い方々だったことがよくわかります。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

結果論になりますが、現場の判断に任せる等の手順を設けておくことが望ましかったのかもしれません。いかなる組織においても上長からの指示は、たとえ言葉尻がどれだけ控えめであったとしても、受け取る側にとって業務命令を意味します。

”企業は,自然災害によって引き起こされた具体的な危険から,従業員,顧客,施設利用者等の生命・身体・財産の安全を守る法的義務,すなわち「安全配慮義務」を負っています。”(引用文献:防災・減災の法務/中野明安・津久井進編 有斐閣2頁)

今回のケースでは、当該テナント会社が安全配慮義務違反に問われる可能性が否定できないと思います。ただ難しいのは、なぜあれほどまでの大爆発が起こるだけガスが漏れていた(らしい)にも関わらず、ガス警報機や遮断弁等の安全装置が作動しなかった(現時点では可能性が高い)のか、そして何が引火原因だったのかという点です。安全装置が何らかの管理疎漏で正しく作動しなかったのであるとしたら、人命が失われたことに関しては、当該ショッピング施設の管理主体と当該テナント会社との共同不法行為が成立するのかもしれません。

幸い人命は無事であっても、テナント企業などが受けた実損は高額になると予想されます。ケガ人への補償、陳列されていた商品や在庫の価値が毀損した損害、店内造作の損壊等、映像で見る限りですが、相当な被害だと思います。さらにたまたま近隣にいて巻き込まれた人や物への賠償責任など、最終的に解決するまでは相当に長い年月を要すことになるだろうと思います。

不幸中の幸いは、発災当時の3千人もの来店客の人命が無事であったことです。普段からの訓練が行き届いていたことの証だと思いました。

ご遺族のご心痛は想像することさえできませんが、この痛ましい出来事をたとえわずかでも未来にいかすとしたら、たとえ自然災害が直接の原因であったとしても、企業等使用者には労働者への安全配慮義務があり、その義務違反があったと認定されれば、損害賠償責任を負うということを再認識し、その点はBCPの根幹であることを社内で共有することだと思います。

民法 第719条 (共同不法行為者の責任)
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。(第二項割愛)

労働契約法 第5条(労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

以上出典:e-GOV法令検索

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