地区防災計画の見本となる地方の謙虚な好事例に学びたい都市部の防災

内閣府(防災担当)主催、「令和7年度 地区防災計画の作成に関する基礎研修会」に参加してみました。

紹介されていた地方の好事例の共通点は、過去の自然災害(古いものでは江戸時代)をいまだに自分事としてとらえるなど自然災害に対してとても謙虚であることと、地区内コミュニケーションが頻繁にあることでした。

昨年の能登半島の地震・津波発生時にも、かねてより備えをしていた地区は全く犠牲者が出なかったという好事例が紹介されていました。どこの好事例においても、防災・減災ワークショップの定期的な開催やブラッシュアップ講習も継続して行われているようでした。BCP(事業継続計画)も地方企業の方が策定率が高いというデータがあります。

翻って都市部はお互いの顔が見えず、いざというときの備えは脆弱であるという、地方と都市部のコントラストが強いセミナーでした。

どのように防災意識を高めていくかは終わりのないテーマです。研修会の登壇者からもアドバイスがありましたが、一人一人が自分の周りでできることから少しづつ、進めていくしかない、防災・減災に王道や近道はないと、再認識しました。その意味でも、いつ起こるか人間には絶対に分からない自然災害に対して謙虚である姿勢は重要な心構えだと思いました。

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地区防災計画は、災害対策基本法に定義されています。

災害対策基本法(目的)
第1条 この法律は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めることにより、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。

(市町村地域防災計画)第42条 第3項 市町村地域防災計画は、前項各号に掲げるもののほか、市町村内の一定の地区内の居住者及び当該地区に事業所を有する事業者(以下この項及び次条において「地区居住者等」という。)が共同して行う防災訓練、地区居住者等による防災活動に必要な物資及び資材の備蓄、災害が発生した場合における地区居住者等の相互の支援その他の当該地区における防災活動に関する計画(同条において「地区防災計画」という。)並びに災害応急対策又は災害復旧を円滑に実施するために必要となる公共的団体又は民間の団体との連携に関する基本的な方針について定めることができる。(ハイライト部分は令和7年6月4日施行)

条文ではわかりにくいですが要するに地区防災計画とは、”当該地区における防災活動に関する計画”のことを言います。例えば、①市町村内の一定の地区内の居住者及び当該地区に事業所を有する事業者=まとめて地区居住者等が共同して行う防災訓練や、②地区居住者等による防災活動に必要な物資及び資材の備蓄や、③災害が発生した場合における地区居住者等の相互の支援等、を含みます。これらの地区防災計画は、市区町村が作成する市町村地域防災計画に沿った内容である必要はありますが、その原案は地区居住者がボトムアップで提示するものです。詳しくは長文ですが下記まで↓

BCP(事業継続計画)策定のベースとなる法令を読んでみる。ちょっと長いですが | 行政書士 田中敬介事務所(東京/中野)

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