改正行政書士法成立(来年1月1日施行)で思わぬところで波風が立っているようです。中小企業診断士の補助金業務について。
少なくとも中小企業診断士業界を意識して改正されたものではなく、ブローカーが跋扈したコロナ禍の助成金不正受給問題が一番大きな理由と私は理解していますが、補助金申請を実質代理して報酬を受け取ることは、今回の改正で黒になってしまうという業界関係者自身の見立てです。
私は一部SNSなどでの中小企業診断士自身のコメントを横で見ているだけで、個人的に中小企業診断士の方々を糾弾したりする意図は毛頭ありません。こんなところにリパーカッションがあるのかとかなり驚きました。
しかし仮に法的問題がゼロであったとして補助金申請書類の代理作成はともかくも、(補助金申請に必須となる)事業計画まで代理作成することには別の問題があると思います。
経営者が自分の言葉で自社の計画についてきちんと説明できなければ、補助金申請を受けた行政も不信感を抱くでしょうし、そもそも経営者の資質に問題ありと見做されかねません。
我々士業関係者は、補助金申請書類の書き方や事業計画の作り方について横からアドバイスするに留め、事業計画自体を代理作成するのは法的問題にかかわらず回避した方が良いと私は考えます。たしかに、作り方を説明するくらいなら自分で作った方が早いという現実的対処方法を選好する気持ちはよくわかりますし、その方が報酬も多いのでしょうけど。
計画の中身やその方向性は経営者が自分自身でアイデア出しをして、そのアイデアに事業計画という体裁を整える作業をお手伝いする、というのが本来あるべき仕事と私は考えます。行政からどんな質問が来ても経営者が自分の言葉で説明できなければ、それはその会社の事業計画とは呼べません。
そしてなによりも事業計画を代理作成することの最大の罪は、その事業計画に修正や変更が必要になったときに、社内人材で対応できなくなってしまう点です。やむなくまたその時点で外部リソースを頼ることになり、永久に負のループから自立できなくなります。計画は、その実行や修正・見直しなどメンテの方がより重要であることは言うまでもありません。