BCPを発動するような有事の際に速やかに資金調達できるか否かは、まさに命綱です。その意味では、日ごろから金融機関とのお付き合いは丁寧にしておいた方がいいでしょう。お嫌かもしれませんが、取引先金融機関の支店長とは仲良く。しかし一番大切なことは支店長を持ち上げることなんかではなく(支店長の方がお読みでしたら失礼ですが)、取引先金融機関の担当者との付き合い方です。担当者とうまく付き合うコツは日ごろから「いいニュースも悪いニュースも前広く共有しておく」ことです。
一般に金融機関の担当者はネガティブサプライズを極端に嫌います。銀行で、大手上場企業を担当しているとはた目には「あいつすごいな」と評価されるかもしれませんが、その内情は「いつ自分の知らない重要情報が経済紙に公表されるかハラハラドキドキ」です。あなたの会社が上場企業でなくても、悪いニュース(例えば、今年の売上高は前年比30%減りそうだとか、大きな売掛金が焦げ付いてしまうかもしれないとか、コア人材が退職してしまったとか)を前広く共有しておきましょう。そうした悪いニュースへの対応の仕方が、あなたにとってその金融機関がいざというとき、頼りになるか否かの試金石です。まずは担当者に説明し、その次にはその担当者の上席にも説明しておくことをおすすめします。一番トップに直接説明しても良いですが、担当者からその上席そしてトップへと重要な情報は上がりますので、上がったころを見計らって、トップに説明することがいいかもしれません。あくまでも担当者の立場を大切に。担当者の頭越しにいきなりトップに告知するのは、特に機密性の高い情報を除いて、できるだけ回避した方が無難です。
有事の際にはもちろん行政からの資金支援がありますが、その原資は税金ですので、審査は慎重になりますし、条件もかならずしも有利とはいえません。コロナ禍の緊急融資は、担保なし、金利ゼロだったはずですが、その巨額不良債権化が問題になっています。緊急対応を優先するがために実態がわからないまま融資すれば、借り手に悪意はなくても、不良債権になってしまうリスクは高くなります。今後、BCPが発動されるような局面で緊急融資を受けることができるとしても、コロナ融資の経験から、貸し手(=行政)は従来より慎重になるはずです。行政へのアプロ―チでは、①良好な納税履歴(期限内にきちんと確定申告している)、②労務面のコンプラ問題が起こっていないことなどが第一義的に重要になると思われますが、③金融機関と普段どのような取引関係にあるかということも、平常時の基礎的な信用力を裏付ける情報として重要になると思われます。
その観点からも、日ごろから金融機関とは丁寧に付き合い、財務諸表はしっかり開示し、決算が不冴えになるときには、経営者が自分の言葉と数字の理解で金融機関に説明できることが大切になります。もし現在、金融機関との付き合いが全くない場合には、とりあえず公的金融機関に(資金需要がある場合には言うまでもなく、資金需要がない場合でも)接触してみることをおすすめします。どのような情報を提供すれば金融機関が融資に応じてくれるのか知るだけでもBCP的には重要な意味があります。