業務上必要な書物や資料の読みこみは、私にとってはとてもハードな仕事です。頭がしびれるほど難しい文章にもしばしばめぐり逢い、クリアしなくてはなりません。何度も何度も読み返さないと理解できなかったり、しばらくおいて読み返すと誤読していたことに気づいたり、間違っても斜め読みはできません。さすがに仕事の著書は図書館で借りるわけにはいきません。ラインマーカー等で色を付けながら、大事な所は折ったり、付箋を付けたりです。
私の場合、そんな業務上の読書でコチコチになった頭の酷いコリに効く薬は、全く違うジャンルの本を読むことです。しかも、夜中に目覚めて眠れないときにも気軽に読めるタイプの本、いわゆるReadabilityが高い本です。Readabilityの高さで個人的に第一位だと思うのは、何といっても村上春樹さんのご本です。とはいえ、文章を読むのに時間のかかる極め付き遅読人間なので、一冊の文庫本を1か月かけて読むこともしばしば。
まあ趣味の読書はあくまでエンタメ、面白くなければさっさと放棄してセカンダリーマーケットへ放出です。そもそもウサギ小屋に住むものとして本を置くのは非常に限られたスペースゆえ、蔵書入れ替えは頻繁に必要です。
最近、読後感がとてもよかったのは、女優であり文筆家であった高峰秀子さんのエッセイ集でした。勝手に尊敬する経営学者の楠木建先生がお好きな著者ということで、友達の友達は友達ならぬ、好きな著者が好きな著者の本はおおむね気にいる可能性が高いとして、Chain readingとして初めて読んでみました。
5歳にして運命のイタズラで女優業に入り、経済的には恵まれていながらも、いろいろな葛藤や難しい家庭環境に置かれ、書くことが救いだった。知性あふれる大女優にして、極めて謙虚な方だったからこそ、その辛さや苦悩を補って余りあるほどの数々の著名人と付き合うことができたのだろうと思いました。
今回も読書の報酬は読書でした。