6月6日に行われた国土強靭化推進本部で掲げられた国土強靭化年次計画2025では、事業継続力強化計画と中堅企業のBCP策定推進についても言及されています。
事業継続力強化計画(通称ジギョケイ)は、2024年度実績で73,503件認定されています。2022年度公表の目標値は40,000件ですでに目標を達成し、2026年の目標を90,000件に設定、2029年度までに3,360件のジギョケイ認定事業者における防災・減災への投資件数を目指すと目標が改められました。引き続き、税制面などでのインセンティブを付与し続けることが確実と思われます。
中堅企業のBCP策定も進み、2025年中には中堅企業の策定率は5割を超える見込みとなったことを踏まえて、政府は2035年までに8割策定という目標に改めました。
「BCP 末策定の企業に対し、BCP の重要性についての理解促進を図るとともに、製造業、物流事業者及び製造業と物流事業者の連携による BCP の策定を促進する。中小企業に対しては、災害時の対応を含めた保険会社や商工団体、金融機関等の支援機関への普及啓発や、BCP の策定・充実やそれに基づく対応・体制確保の支援等を通じ、事業継続力強化計画の認定数の増加を図る。また、実効性を高めるため、災害時オペレーションの改善や事業拠点の分散等にも留意する。」(国土強靱化年次計画2025令和7年6月6日国土強靱化推進本部決定 本文39~40頁より)
以上の文章からは、政府が中堅企業の事業継続力強化を国土強靭化においても重要な課題と捉えていることは明白です。そして企業側も少しづつ対応が進み、今年度中にはBCP(事業継続計画)を策定している中堅企業の比率が過半数に達する見込みということですから、BCPを策定していないことは経営面で他社に比べてマイナス評価を受ける可能性があります。
下記内閣官房ホームページ資料をもとに行政書士 田中敬介事務所にて作成(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/kihon.html)
先日東京高裁が判決を下した東京電力の株主代表訴訟では、未曽有の大津波を当時の経営陣が予見できなかったことに法的責任は追及されませんでしたが、たとえ自然災害であっても取締役の善管注意義務と安全配慮義務自体はある、ということは改めて確認された内容でした。他の判例とも同じ考え方でした。
もしものことが起こっても、善管注意義務や安全配慮義務に違反していないことを主張・立証できるためには、取締役は日ごろから準備しておくこと、そのためにもBCPを策定しておくことは極めて重要であるということが、今一度強く印象付けられた判決でした。