人手不足が常態化して久しいですが、他方で2025年4月1日から、就業を希望する人には65歳まで雇用を確保することが全ての企業に義務付けられました。70歳までの雇用についても努力義務です。
個人的疑問として、本当に人は足りないのだろうかという印象はありましたが、この著書を読んで理解することができました。背景にあるのはやはりミスマッチのようです。
著者は、大企業こそシニア雇用を促進し、中小企業も若手採用への信仰をやめるべきと説きます。雇われる側も、大企業へのこだわりをなくすべきと。そしてシニアが果たす役割を表す概念として「アーティスト」という言葉を挙げています。
「自分のプロフェッショナルとしての知見を持ち」「直接自分の名前で仕事を獲得し」「自分のスキルで問題を解決し」「人々を喜ばせていく」存在、と著書の中でアーティストは定義されています。
なかなか難しい投げかけです。ここまで到達できれば、年齢問わず、確かに引く手あまたの人材になりそうです。千里の道も一歩より、いまのコンフォートゾーンから勇気をもって脱して、荒波にもまれてみる経験はいくつになっても必要なことであり、ある意味楽しいことなのではないかと思います。なお、この著書では50代までをミドル、60代以降をシニアと位置付けています。
2011年3月11日、東京都内でメキシコ人来訪者を応接していた私は、異国の地で発生した未曽有の大地震にも慌てることなく、別れ際にジョークを残していったそのメキシコ人来訪者を心から尊敬しました。1985年にメキシコで発生した大地震の経験者であったからです。
BCP(事業継続計画)策定の観点からは、シニア層の経験値は大いに戦力として期待できると思います。長く生きていれば、それだけ多くの経験を積んでいるので、有事の際には、経営者にとって力強い戦力になってくれるのではないでしょうか?
「シニアが大切にされない職場は、若手から見れば将来の自分の姿を投影し、モチベーションの低下につながりかねません。高齢になっても活き活きと働ける会社とは、若手も将来長く働きたいと思える職場環境づくりをしている会社なのではないでしょうか。」
以上出典:定年がなくなる時代のシニア雇用の設計図(宮島忠文、小島明子 日本経済新聞出版)
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の促進、高年齢者等の再就職の促進、定年退職者その他の高年齢退職者に対する就業の機会の確保等の措置を総合的に講じ、もつて高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。
(高年齢者雇用確保措置)
第九条 定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。
一 当該定年の引上げ
二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
三 当該定年の定めの廃止