海外への投資や輸出を始める際に、相手国の国としてのリスクを見極める必要があります。ざっくり言ってしまうと、先進国は国としてのリスクが低く、新興国は高い、ということになります。
国としてのリスクとは、その国の財政状態(国債など国の借金が、国としての収入に等しいGDPに対して過大ではないかとか)、クーデター等の政変が起こりやすくはないかとか、テロや戦争が勃発しないかとか、等々の指標を用いて判断します。結論として、先進国なら問題ないだろうという判断になるのが当たり前でした。
しかし、トランプ大統領再登場、政権発足後の政策、唐突な関税引上げ等を見ていると、これまでは、国としてのリスクはゼロと評価されていたアメリカが、今となっては最もリスクが高い国になってしまった感があります。投資額が大きく、国としての関係性も他の国より強いだけに影響が大きくなります。
関税が24%も引上げられ、しかも足許円安に調整が入り、円高に向かう機運もあるので、アメリカへの輸出量を従来と同じように維持するには、日本からの輸出価格を下げるしか方法がありません。何もしなければ、ただ単に売上が減少するのを待つことになります。
それでも大企業は一定期間は減収に耐えられるかもしれませんが、当該大企業と取引がある中堅、中小企業が、その企業から値下げ要請を受けるのも時間の問題になりそうです。値下げ要請がなくても、それは減収を意味するのでどちらになっても窮状です。
しかし、今回の関税引上げには、一つだけ逃げ道が用意されているかもしれないと思いました。海外のライバルも含めて誰か一人だけが不利になる訳ではないという点です。少し無理やり好意的に考えて、誤解を恐れずに言えば、自社の競争力を高めるチャンスではないでしょうか?本当にいいものは値段を下げずとも買ってくれる人が必ずいる。この局面を乗り越えられれば、きっと明るい展望が開ける。少なくともトランプ政権はアメリカ憲法が改正されない限り、この4年間で終焉を迎える。
ニデック(旧日本電産)の永守会長が何かの著書で「どの国に投資すればリスクを回避できるかは誰にも分からないので、できるだけ多くの国に分散投資するしかない。」という趣旨のことを述べられていました。さすがだなあと思いました。
もはやアメリカはハイリスクカントリーであると、認識を新たにして、今後の事業計画を練り直すしかありません。BCP(事業継続計画)を策定する際、自然災害が発生した時にも、優先的に再開し、続けるべき事業を予め選ばなくてはなりません。今回の試練に耐えることができる商品や製品はおそらく有事の際に優先的に再稼働させる事業と言えるのではないでしょうか?
少なくとも、経営環境や事業環境が急激に悪化する要因は、自然災害に留まらないという教訓は活かせると思います。