3か月前に始まった自宅アパートの大規模修繕が終わりました。前回の大規模修繕は東日本大震災直後だったのですが、まだ住んでいなかったので状況はわかりません。伝え聞いたところでは、余震があるなか、恐る恐るの工事だったとか。大規模修繕は通常、1年程度の時間をかけて準備するので、たまたま工事開始が震災直後になったようですが、震災前に足場を組んでいたら、大変だったかもしれません。今回3か月の工事は、幸いにして地震や大雨等の影響を受けることなく無事終了しました。
大規模修繕はもちろん、その建物所有者や住人が暮らし易くするためですが、工作物責任を果たす意味も大きいです。建物の管理に瑕疵があり、壁のタイルがはがれ落ちたり、道路に面した塀が倒壊したりして、通行人や近隣家屋に損害を与えた場合に責任を負います。直接原因が自然災害であっても、管理に瑕疵があることが明らかであれば、免責されません。例えば大規模修繕を20年以上実施していなかった結果、台風等でタイルが剥がれて通行人がケガしたりすれば、管理に瑕疵があると判断されても反論できないのではないかと思います。
民法第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
昨今、自然災害の激甚化や頻発化があたりまえになっていることもあり、不可抗力と主張できるレベルも高くなっていると思います。BCP(事業継続計画)策定時に、工作物責任のリスクはしっかり洗い直すべきです。万が一、建築基準法を遵守していない工作物を原因とする不法行為責任を問われたりすれば、最悪廃業の憂き目にも遭いかねません。廃業とまでいかずとも、企業のイメージダウンは免れません。
個人住宅の大規模修繕であれば10数年に一回程度の実施頻度で”設置又は保存に瑕疵はない”と判断してもらえるかもしれませんが、地域に根差した中小企業にとっては、自社資産の管理疎漏が原因で周辺住民等に損害を与えることは、何としても回避しなくてはなりません。また、固定資産の管理を怠れば、有事の際に必要となる補助金等の受給でもマイナスに働きます。BCPの策定そして策定したBCPの定期見直しのタイミングで、工作物責任の観点からの自社固定資産の管理状況をアップデートできる社内規定にしておきたいものです。