世界45か国を観てきた行政書士が作りたいBCP(事業継続計画)①

認定特定非営利活動法人 日本防災士機構さんの防災士教本(2024年度版)によれば、「日本の国土面積は、地球上の陸地の約400分の1にすぎないのに、日本列島及びその周辺から吐き出される地震や火山噴火のエネルギーは、地球全体の約10分の1に達している」そうです。今日まで55年以上生きてきて、大災害に遭遇せずに済んでいますが、それは本当にただただ運が良かっただけと大いに実感させられる数字です。

以前駐在していたペルーの首都リマ市では雨がほとんど降りません(でした)。気象的なメカニズムはよくわかりませんが、湿度は100%なのに雨は降らない不思議な場所でした。もっとも湿度の高さから曇りがちで、真冬(南半球なので6月)を挟んで半年くらいほとんど太陽が出ないという日射量ハードシップがあります。とはいえ冬(南半球なので6月が真冬)は日本のように寒くはなく、夏もフンボルト海流のおかげで比較的涼しいです。そうした雨の降らない町で何が可能かといいますと、日本人には想像がつきませんが、屋根のない家が存在できるのです。極度の貧困に苦しむ人たちがやむにやまれず、自分でブロックを買ってきて、土地所有権も建築許可もない場所(たいてい崖など急峻で危険な場所)に手作りの家を建て、暮らしていました。素人に屋根を造ることはできません。そして盗電と思しき電気で成り立つその山腹の夜景は皮肉にも美しかったりしました。高級住宅エリアで起こったことですが、リマ市の海岸地区で土漠(イメージ写真ご参照)の上に建てられた家が、庭木に水まきをし過ぎた結果、地盤が崩れて家が倒壊しかけたというニュースもありました。そのくらい乾燥した場所でした。リマ市からはちょっと離れていますが、ナスカの地上絵が存在できたのは雨が降らない場所に描かれたからです。しかし近年の気候変動でリマ市にも雨が降るようになってしまいました。ついに屋根が必要になってきたのです。

世界のいたるところで、数世紀単位で維持されてきた当たり前のことが覆され始めているのは本当に恐ろしいことですが、上述の衝撃的な数字を知ったあとでも、日本に暮らす私たちはまだ恵まれています。少なくとも雨風をしのぐ屋根はあります。ただし、地球上で数世紀当たり前だったことが当たり前でなくなっているくらいだから、あなたの会社の当たり前はもっと疑ってかかる必要があるかもしれません。相応の手間とコストをかけてBCPを策定するのであれば、せっかくなのでBCPを単なる自然災害等の不可抗力への事後対策ではなく、健全な猜疑心をもってこれまでの常識を疑い、社内ルールや習慣となっている仕事のやり方、取引先との付き合い方等、会社を取り巻くこと全般をプロアクティブに見直す良いタイミングと捉えてみてはいかがでしょうか?思わぬ発見や無駄削減につながる可能性もあります。

濃霧によるリマのホワイトアウト

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