特別代理人が必要なケース 複数の未成年子代襲相続の複雑さ

受任したわけではないのですが、少し考えてみる機会がありました。最近お父様がなくなり相続人となったA氏にはお父様より先に他界した弟B氏がおり、B氏には3人の未成年子X,Y,Zがいます。代襲相続人となったX,Y,Zには1人に1人特別代理人が必要になります。

亡B氏の配偶者C氏(つまりX,Y,Zの実母)は法定相続人ではないので、親権者としてX,Y,Zのうち誰か1人の代理人になっても利益相反はありませんが、すくなくとも残る2人にはそれぞれ特別代理人が必要です。

特別代理人には特段資格要件がないので、利益相反のない親族が全く存在しない場合などに、私たちのような中立的立場の士業関係者が務めることも、法定相続人にとってコスト面の問題がなければ可能です。無論、適格性に問題ないと家裁が判断する条件付きです。

C氏がX,Y,Zのうち1人だけを代理するのは、誰の代理人となるにしても、その理由を後々(遅くとも未成年子が成人した以降には)説明する責任が残ると思われるので、できれば避けた方が良いのかもしれないとも思いますが、遺産分割協議の当事者が増えれば、それだけ手続きが滞る可能性も出てくるので、どちらが良いのか判断が難しいところだと思います。

特別代理人の選任を家裁に申立てるのは、このケースではX,Y,Zの相続における利害関係者としての伯父A氏か、X,Y,Zの親権者C氏と思われますが、どちらにせよ申立人がどのような判断を下すのか、大変気になるところです。

参考図書:潮見佳男 詳解相続法第2版(弘文堂)

参照情報:裁判所HP 特別代理人の選任申立書(遺産分割協議)

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