被災者生活再建支援法の改正案

南海トラフ地震の影響を政府が見直したのはおよそ2か月前でした。https://ktanaka-capls.com/knowledge-transfer/sme/for-your-business-continuity-planning/2857/

今国会で、被災者生活再建支援法の改正が審議されています。成立すれば、公布の日から施行され、令和6年1月1日以降に発生した自然災害に適用されます。

改正法案が成立すれば、解釈に議論があった「半壊」についてシンプルになります。

【被災者生活再建支援法第2条2号ホ】(当該自然災害によりその居住する住宅が)「半壊し、居室の壁、床又は天井のいずれかの室内に面する部分の過半の補修を含む相当規模の補修を行わなければ当該住宅に居住することが困難であると認められる」→「半壊した」に簡素化されます。

また支援金が倍額以上になります。たとえば自然災害で住居が全壊した世帯(単身世帯を除く)では、新たに居住する住宅を建設し、又は購入する場合に、現行法では世帯主への基礎支援金100万円、建設又は購入の加算支援金として世帯当り200万円の合計300万円(但し使途制限なし)でしたが、改正法が成立すれば、両方とも倍額となり。最大600万円になります。この違いは大きいと思います。施行前に300万円受領した被災者は改正法が案の通り施行されれば300万円追加受領できることも提案されています。

一番大きな改善点は、単身世帯への支援金が従前比4倍に増加することではないかと個人的には理解しています。おそらく高年齢者の単身世帯が増えていることが背景にあると思います。半壊には基礎支援金がありませんでしたが、改正法案では基礎支援金が50万円新たに支給されることが提案されています。

具体的に言うと、現行法では単身世帯で住居が半壊した場合、次の住居を賃借するとしたら加算支援金18万7,500円のみの支給ですが、改正法案では基礎支援金37万5千円に加算支援金も同額支給され合計75万円となり、従来比4倍になる内容となっています。新しい住居を賃借する場合でも、75万円あれば転居費用や敷金・不動産仲介手数料などの当座費用もある程度カバーされると思います。

ただし改正案は、全壊(やむを得ない解体や長期避難を含む)か半壊かで支援金の額に最大350万円の開きを生じさせ、現行法比でその格差は150万円拡大します。つまり、住宅の被害程度をどのようにして公平に判別するかというテーマは依然残ります。

被災者生活再建支援法

(目的)第1条 この法律は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者に対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して被災者生活再建支援金を支給するための措置を定めることにより、その生活の再建を支援し、もって住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資することを目的とする。

第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

1自然災害 暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。

改正案はこちらhttps://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21605022.htm

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