ちょっとしたご相談を受ける機会がありました。ご相談者にはほとんどお役には立ちませんでしたが、自分なりにいろいろ考えてみるきっかけにはなったので、私にとってはありがたいことでした。
当事者間の協議や交渉には弁護士でない限り、私たち行政書士が立ち入ることはできません。離婚条件について当事者間の合意が成立した後に、その内容を粛々と文章に残し、養育費や慰謝料等の授受等を約束する合意書面作成のお手伝いをすることが仕事です。一般的には後々金銭の授受で揉めても対処できるよう、公正証書化することが多いようです。
年金分割については当事者又はその代理人が一緒に、年金事務所を往訪して、年金分割の合意書を提出すれば済むようになっています。公正証書である必要はありません。https://www.nenkin.go.jp/shinsei/jukyu/kyotsu/20181011-05.html
ところで、子供の養育費(法的な文言としては子の監護の費用)を一般先取特権に追加することなどが民法改正に盛り込まれました(2024年5月24日公布/2年以内に施行)。具体的な養育費は法務省令で決まるようです。https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html
相手方の財務状況が悪化しても、養育費は(共益費、雇用に次ぎ)他の債権者より優先的に弁済を受けることができるようになるので、(相手方の預金差押え等、銀行実務とのすり合わせはこれから必要であろうと推測)、画期的といえば画期的です。ただ、一般先取特権という法的に極めて強い権利に、養育費が個別具体的に追加されるほど、現代の日本において、離婚とそれに起因する子供の貧困が社会問題になっているという世相の表れと思います。
法は世につれ、世は法につれ