世界45か国を観てきた行政書士が作りたいBCP(事業継続計画)③

以前メキシコに暮らしていたとき、ユダヤ教徒の方々と接する機会がありました。住んでいたアパートの大家さんがユダヤ人でその方は定期的にエルサレムでの研修に出かけられていました。そしてそのアパートの住人の多くがユダヤ教徒の方々でした。みなさんのたたずまいはまさにイメージ通りのユダヤ教徒そのものでした。

宗教上の理由で機械に触れられない安息日は、地上8階までエレベータを使わず、非常階段を上り下りされていました。大柄な男性数名が隊列を組んで非常階段を昇降するお姿は、失礼ながらちょっとシュールな印象を受けました。教えにとても忠実な方々なんですね。近くには美しいシナゴーグもありました。現職のそしてメキシコ史上初の女性大統領シェインバウム氏はユダヤ系だそうです。

宗教上の教えで非常階段を使うことは一般的日本人には必要なさそうですが、エレベーターはいつ止まるかわかりませんし、せめて自宅や職場の非常階段は定期的にチェックしておいた方がよさそうです。

以前、旅行でローマに行ったとき、宿泊していたホテルで火事騒ぎがあり(単なるいたずらと思われる火災報知器の作動)、宿泊客が大慌てでロビーに集まったことがありました。隣室から飛び出してきた女性はほとんど下着姿&裸足でした。私たちもパニック状態になって廊下に出たら、既に防火扉が閉まっていました。焦っていたので、押して開ける防火扉を間違えて引き続けて全然開かず、ここで生涯を閉じるのかと絶望的な気分になった記憶があります。今となっては笑い話ですが。

認定特定非営利活動法人 日本防災士機構さんの防災士教本(2024年度版)によれば、「パニック発生の4条件 ①差し迫った危険が存在するという認識が人々の間にあるとき(単に思い込むだけでも)、②脱出の可能性があるとき(脱出の可能性が全くないときにはパニックは起きない。誰も脱出できないのならば、先を争ってみても仕方がないからである)③脱出路(口)に制約があり、全員は避難できそうにないとき、④正常なコミュニケーションが欠けているとき。(中略)パニックを防ぐには、①を知ったうえで、②~④のいずれかを防ぐようにすればよいのである。」とされています。なかなか冷静になるのは難しいかもしれませんが、この中で唯一打開できそうなのはコミュニケーションでしょうか。

自然災害は時も場所も選びません。日本でかつ自宅にいるときであればなんとか減災することができても、知らない町ましてや国外であったら、いやおうなしにパニック度は増幅されます。ローマのホテルでの経験は私にとって貴重なそしてリアルすぎる避難訓練になりました。以来、ホテルに宿泊するときはもちろんのこと、初めて入る(とりわけ築古な)建物では非常階段をチェックする癖がつきました。「このビルでもし火災や地震が発生したら、どうやって避難すべきだろうか」とほんの少しイメージトレーニングするだけでも、いざというとき役に立つと思います。

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