2025年3月のコメ価格は前年同月比92.1%上昇(総務省統計局)雑記

なかなか衝撃的な値上がり幅です。備蓄米を放出しても効果がほとんどないとか。そもそも買戻し条件付きで備蓄米を放出するということは、単純な経済原理に照らして、価格を引き下げる効果をもたらさないことは明らかなので、価格調整の意図ははじめから当局にはなくて、当面の不足を補うためだったと理解します。それはそれで明言したほうが、消費者も余計な期待を抱かずに済むので、ひょっとしたらむしろ価格は落ち着いたのかもしれません。

しかしよく考えると、いまコメが5キロ4千円なら、1食分200グラムで25食分として1食あたり160円です。コメ1食で得られるエネルギーや栄養価を勘案すれば、法外に高いとは感じません。いまのアメリカでは鶏卵1個の値段です。仮に和牛を5キロ買ったら数万円になります。この品目を単純比較することには難があることは承知です。

一方、総務省の統計を見ていると興味深い数字もありました。家賃がほとんど上がってないんですね。基準年2020年と比較してほぼ横ばいの100.6です。しかし住居の設備修繕・維持費用は121.3と上がっています。つまり住居の老朽化は進むが建て替えはできず、戸数全体としては余剰気味である。これは実感とも整合します。空き家問題が数字に表れてきている。

家賃が上昇しないということは不動産市況もそのうち頭打ちするということでしょうから、建設をはじめとする内需も一巡し、トランプ関税も相まってやはり景気後退が始まるのかと心配になります。弊事務所や拙宅周辺はまあまあ建設ラッシュにも見えますが、少なくとも住居が日本全体で余っていることは間違いなさそうです。

コメ価格が1年で倍になったというセンセーショナルな数字が新聞をにぎわせていたおかげで、もっと違うポイントで、はるかに意味のある数字も見ることができました。同じく目を引いた数字として、授業料は値下がりしていました。2020年比97.8です。全国的な授業料無償化機運にもかかわらず、値下がりするということは、少子化により需要そのものが減っていることの表れと理解しました。多くのデータと異なる方向に動く数値には特に要注意です。

統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要)

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