目的条文から考える時事 ③ 食料安全保障

令和の米騒動はなかなか落ち着きませんが、最近やっと野菜の値段が落ち着いてきたので助かっています。ところでアメリカでは卵ひとつ1ドル以上とか、よく生活できますね。そこへきて中国産品の価格は倍になるようで。いまから18年くらい前ですが、当時駐在していたメキシコから訪れたNYで、とある日本の純米酒がショットグラス1杯50ドルだったのですが、我慢できず飲んだ経験があります(当時のメキシコでは日本酒はほとんど入手できなかったので)。いま、一体いくらで販売されているのか想像できませんが、そのころと比べると現在の為替レートは30~40円くらいドル高円安になっているので、結果的にあまり変わっていないかもしれません。しかし最低10%は値上がりしますね。

とは言え日本も対岸の火事と笑ってはいられません。コメは食料安全保障の肝ですので、なんとかならないものかと思います。生産者が生産を続けられる価格と、消費者が消費できる価格とは簡単には折り合わなくても仕方がありませんが、気候変動や、農業従事者の高齢化進行度合いを勘案すれば、やはり行政に何とかしてもらうしかないと思います。そこに税金を投入しても文句は出ないと思います。いま本当に有効な手を打たなければ、数十年後コメは主食でなくなっているかもしれません。私はもともと農家の家系出身ですが、家督を継いだ人も高齢で、ずいぶん前に事実上撤退し、農地を貸しています。

日本にもいろいろ問題はありますが、日本から少し視点を移し海外から日本を見てみると、「日本人であるということはそれだけで世界的に見てとても恵まれている」のは紛れもない事実です。私はこれまで3か国に合計11年暮らしました。いずれの国も文化的・歴史的に奥深く、食事も美味しく、自分の人生の幅も広がりましたが、海外で暮らす年数に比例して理解が深まったのは、日本は恵まれているということに尽きます。

日本のコメは本当に美味しい。ブランド米でなくても十分に美味しい。海外駐在中はそこで入手できるコメを(海外のコメ生産者には大変申し訳ないのですが)やむなく食べていました。以前ペルーで食べていたカリフォルニア米を最近日本のスーパーで見かけます。5キロで日本米より千円くらい安かったからか売り切れていました。(私の記憶違いでなければ、このカリフォルニア米は日本が関税ゼロで輸入させられている枠内のものと思います)。これは少し悲しい状況です。日本人がわざわざ日本で輸入米を食すとは。日本で日本の美味しいコメを食すことができるのは、ただそれだけで本当に恵まれていることですが、それは永久に保障されているわけではないと最近実感します。

食料・農業・農村基本法
(目的)
第一条 この法律は、食料、農業及び農村に関する施策について、食料安全保障の確保等の基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、食料、農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とする。

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