目的条文から考える時事 ⑤ 国内でも外貨建て決済ができたなら

午後3時から7時まで、中野区等城西地区の上空は山手線のような頻度で飛行機が飛びます。気象条件が整えば、羽田空港へ向かう飛行機が一斉にこのルートを取り始めるからです。現代において飛行機同士の衝突事故は起こりにくいと信じたいものの、もし部品が一つでも落ちてきたら、たとえそれが小さなボルトでも大変なことになるだろうと心配ですが、横田基地の存在によって首都圏の航空行政が難しい点は理解しています。

飛行機を山手線と見紛う程の頻度で着陸させるほど旅客が絶えないことは、日本経済にとって悪いことではありません。地元中野区の繁華街を見る限りでは、平日日中のお客さんの多くが外国人観光客なので、町は外国人観光客の消費であきらかに潤っています。

現代日本にとって外国人観光客誘致は、外貨獲得手段ではありませんが、例えば外国人観光客からドルで支払いを受けることができたら意外に便利なのではないかと思います。ラーメン一杯千円ではなく、10ドル支払ってもらえば、外国人観光客もわざわざ日本円に両替する手間が省けるかもしれません。

そしてそのラーメン店で働く外国人就労者がいれば、その外国人就労者へドルのまま給与支払うことができれば、受け取る外国人就労者も仕送り等で円安の影響を受け難くて済むのではないかと思います。またはお店が、輸入原材料の支払にドルをそのまま充当することができれば、より為替の影響を受けにくいのではないかと思ったりもします。もちろん、現在の会計処理ルールではそう簡単にはいきませんが。

極論ですが、外国人観光客の日本での決済を外貨でも可とすれば、海外のクレジットカード会社が海外で行う円買い外貨売りが日本国内での円買い外貨売りになって、それはすなわち年間数兆円相当のドルを日本円に両替する取引が国内できることになり、ひょっとしたら日銀の為替介入ほどのボリュームになるのではなかろうかと思ったりもします。ちり積です。

以前暮らしたペルーでは、市中のATMからドルでも現地通貨でも、好きな通貨でキャッシュを引き出すことができ、そこで暮らす一人の外国人としてはとても便利でした。ただそれはかつてハイパーインフレを経験した国ゆえ、家賃等の高額取引ではいまもドルを事実上の決済通貨にしているなど、自国通貨の信用を安定させる苦肉の策です。もっとも、治安上の問題から、日本よりずっとキャッシュレスが進んでいます。

紙幣の刷新はもう最後かもしれないと言われる現代、デジタルの世界くらい、自由な通貨で決済できても良いと思います。

日本銀行法
(目的)第一条 日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。2項 日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。
(通貨及び金融の調節の理念)第二条 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。

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