民泊の問題が各地で物議を醸していますが、届出だけで開業できるから簡単な手続きというわけではなく、限りなく許可に近い届出制度です。
中野区の例で言うと、まず届け出るまでに近隣住民への説明が必須となっています。保健所との事前相談も必須です。民泊から出るゴミは家庭ゴミではなく、事業系ゴミなのでその届出も必要です。かりに集合住宅の一室で開業する場合には、届出を受けた中野区は当該集合住宅の管理組合や賃貸人等に、民泊の届出があったことを通知することになっています。
例えば拙宅マンションは民泊禁止なので、管理組合が通知を受けた段階でNOと中野区へ返答すれば、民泊として開業することはできないでしょう。そうしたいろいろな手続きや、クリアすべき条件をクリアして適法と認められれば、中野区HPで「住宅宿泊事業届出住宅一覧表」に掲載されることになります。そして届け出た以上、宿泊業としての報告や管理義務があります。また、営業者が事業譲渡等で別の人や法人に変わる場合には、事前に届け出る必要があります。
今現在、いわゆる「経営・管理ビザ」で民泊を営業している場合も、先日施行された「経営・管理ビザ」の条件厳格化の対象になりますので、3年以内に資本金を最低30百万円とするほか、日本人従業員を雇用する等、在留資格の更新は難しくなりそうです。つまりその時期にあわせて民泊の事業譲渡や廃業などの業界再編が起こるだろうと勝手に推測します。
報道されているような民泊として求められる最低限のルールを守らない人たちの存在は論外ですが、一番問題なのは、無届の民泊が存在していることです。私の生活圏でも、あきらかに違和感のある建物に、大きなスーツケースを抱えたインバウンド観光客家族が入っていく姿を見ることがあります。インバウンド観光客はおそらく一見ですし、ネット予約時点では正規の宿泊施設であることを全く疑わないでしょうから、実際に現地に到着してみて、「本当にこの場所なのか?」と遠目に見てもはっきりわかるほど躊躇しながらその建物に入っていく姿は見ていてちょっと気の毒でした。当然、その住所を中野区のHPで探しても出てきません。インバウンド観光客たちが無届の民泊に宿泊してしまったことに気づいたら、日本旅行は良い思い出になるでしょうか?
私個人としては、180日しか営業できず、中野区場合、土日祝日しか営業しかできず(平日営業できる所在地もありますが、その場合には区長の許可が必要な手続きになります)、定期報告義務や宿泊者の本人確認義務、清掃、ゴミ出しなどを勘案すると、ホテルよりも収益性が高いビジネスなのだろうか?と少々疑問を感じます。インバウンド観光客の増加もぼちぼち頭打ちになるでしょうし、ただでさえ限られている観光業のリソース確保もホテルと競合するので、本当にわが国が注力すべき事業なのか?よくわかりません。特区民泊廃止を決めた自治体の考えについて – 行政書士 田中敬介事務所
出典:中野区公式ホームぺージ 住宅宿泊事業について(中野区の民泊ルール)より
中野区公式ホームページ https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/