【「事業継続力強化計画」(以下、「計画」)とは、中小企業が自社の災害リスク等を認識し、防災・減災対策の第一歩として取り組むために、必要な項目を盛り込んだもので、現在及び将来的に行う災害対策などを記載する者です。」認定を受けた中小企業は、防災・減災設備に対する税制措置、低利融資、補助金の加点措置等を受けることができます。】https://kyoujinnka.smrj.go.jp/
認定を受けられる「中小企業の規模」は、例えば製造業であれば、資本金3億円以下又は常時使用する従業員の数が300人以下と規定されています。(中小企業等経営強化法第2条第1項の定義) 開業届を提出している個人事業主も対象です。
今般、私の1人事務所も事業継続力強化計画認定事業者となりました。申請から認定までの標準処理期間は45日とされていますが、私は従業員ゼロの1人事務所でシンプルであるからだと思われますが、45日はかかりませんでした(ケースバイケースだと思いますので、数字が独り歩きしないよう具体的日数は割愛)。
以下簡単ですが、ジギョケイ作成の意義を記しておきたいと思います。私が重要だと考えた順番にしています。
<意義>
①自分の事業において何がリスクなのかを客観的に考え直すきっかけになる。審査する側に理解してもらえない内容では認定されません。見ず知らずの審査官にも理解してもらえるように、各事業者が自己のリスクを分析し、対処法を考案する上で、それが事業の目的と整合していなくてはなりません。これは案外難しい作業です。
②自分の事業の強みと弱みを客観的に見ることができる。特に強みは自分ではよくわからないものです。自分の業(なりわい)は、いったい世の中で誰からどう必要とされ、何の役立つのか考え直すことは非常に有意義です。弱みは客観的に把握できた時点から、弱みではなくなるというのが私の持論です。わかってしまえば、何らかの対処法は見つかるはず。
③壁打ち相手を獲得できる。私の場合、従業員のいない小さな組織であるため、防災・減災対応は大変ではないだろうと、少々たかをくくっていましたが、審査の過程において、何度か審査官とのやり取りが必要でした。1人事務所等の小体では、経営課題についての壁打ち相手が組織内に存在しない可能性もあるので、客観的に見てもらう非常にありがたい機会になると思います。小体事業者こそ、ジギョケイに取り組む意義が大きいと思います。
④経済的メリットもある。税制優遇(特別償却なので利益が出ていないと使えませんが)、損害保険料の割引、低利融資、ものづくり補助金等、補助金申請における加点など、定量的メリットもあります。https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.html#tebikiもちろん申請の費用は無料です。
⑤認定事業者ロゴの使用を許される。

<条件・要件>
- GビズIDをまず取得する必要がありますが、マイナンバーカードがあれば即日取得できます。
- 経営者が自ら汗をかいて作成しなくてはなりませんから、それなりの時間を要します。
- 自然災害で被災したとき、なりわい再建支援補助金、地方公共団体による小規模企業者等支援推進事業費補助金(災害時支援活用)の受給にはジギョケイ認定が必須となります。https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.html#tebiki
- 東京都中小企業振興公社によるBCP実践促進助成金を受ける際の必須項目の一つhttps://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/bcp.html
<まとめ>
残念ながら、いまの人類には自然災害を100%回避したり、その発生を予知したりすることはできません。しかし備えることはできます。備えるためには、まず自分がどのようなリスクに晒されているのか、できるだけ客観的、定量的に把握する必要があります。その意味でジギョケイ策定は第一歩として必要十分であり、そのメリットは必要な労力をはるかに上回っています。そしてリスクは自然災害だけではありません。サイバーセキュリティー、コロナに代表される感染症等、事業を取り巻くリスクを認識し、それに対してどう備えるべきか考える作業は必ず役に立ちます。