養老孟司先生の著書”日本が心配”を読んで

”日本が心配”というアイキャッチングなタイトルのご本だったので、すぐ目に留まり、購入しました。養老先生が日本を愛する気持ちにあふれた内容です。大震災への備えについての各方面の識者との対談です。

神戸にM7クラスの地震がいつ起こってもおかしくないと阪神淡路大震災の9日前に地元新聞にコラム記事を寄せられていた専門家(尾池京大名誉教授)がいらしたのは驚きでした。

東日本大震災の津波で破壊された場所に、一時的に回復された自然の姿があった。しかし復旧事業でほとんど消えてしまった。という自然写真家・著述家の永幡氏の研究に驚きました。復旧とは必ずしも人の手を入れることだけを意味するわけではないのですね。

専門家目線では、南海トラフ地震が発生する可能性は残念ながら低くないけれども、日本が良い意味で変わるチャンスにもなりえるという養老先生のご意見に少し安堵しました。詳しくはぜひお買い求めの上で、お読みください。

文中で、地震を知らないスペイン人がフィリピン統治時代に造った教会は地震で倒壊したが、地震を知っているフィリピン人が造った建造物は地震に耐えたという内容のくだりがあったので、ペルーのことを思い出しました。

ペルーが誇る世界遺産マチュピチュ旅行には必ず訪れるクスコ(標高3,400M)という町には石と石の間に剃刀の刃も入らないほど精巧な石の文化があります。クスコはインカ帝国時代の首都だったのですが、インカ以前から重要な都市でした。16世紀スペイン人がこの地を侵略したとき、インカやそれよりもっと古い時代の建物を壊して、その土台の上に要塞を建てたのですが、新しい要塞は地震で簡単に倒壊したそうです。しかし、もっと古いインカやそれ以前の構造物はびくともしなかった。

地震がほとんどないスペインでは、地震への備えという発想自体がないのですね。確かにスペインでは3都市に合計3年半暮らして地震は一度もなかったと記憶しています。一方、有史以来、地震と向き合ってきたアンデスの人々の英知を確認することができるマチュピチュ-クスコ旅行でした。とは言え、標高3千メートルを超える町に宿泊するのはかなり体力が必要です。雲が近い…。一方、マチュピチュの標高は2,430Mです。日本人にとってはそれでも十分高地ですが、少しほっとしました。

出典、引用元:日本が心配 養老孟司著 PHP新書

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