BCP(事業継続計画)策定をご検討中の中小企業のみなさまへ

行政書士 田中敬介事務所のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。

私は会社勤め時代に経験した海外駐在を機に、防災・減災の必要性を知り、そしてBCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)の有用性を実感しました。この学びを何かに役立てたいと考えています。もっとも、個人的に関心のあるテーマだからBCPに取り組むのではなく、明確な業界的バックグラウンドと理由があります。具体的には、

  1. なぜ私たち行政書士がBCPに取り組むのかと言いますと 
    • 理由① 行政書士の本業そのものである
    • 理由② 遺言・相続等企業経営者が直面する民事法務でもサポートできる
    • 理由③ 外国人の雇用等経営に直結する課題でもサポートできる、からです。

  1. そしてなぜ私がBCP策定をお手伝いするのかと言いますと
    • まず、先天的気質として私はとても小心者極度の心配性ですが、この気質をせっかくなので何かに役立たせる方法があるのではないかとずっと考えていたことと
    • 先天的気質に加え、後天的に獲得したものとして海外生活での不安がより増幅された環境下での生活経験が大きく影響しています

1.私たち行政書士がBCPに取り組む理由として以下のように考えています。

内閣府の防災情報のページには「企業は、災害や事故で被害を受けても、取引先等の利害関係者から、重要な業務が中断しないこと、中断しても可能な限り短い期間で再開することが望まれています。また事業継続は企業自らにとっても、重要業務中断に伴う顧客の他社への流出、マーケットシェアの低下、企業評価の低下などから企業を守る経営レベルの戦略的課題と位置づけられます。この事業継続を追求する計画を「事業継続計画(BCP)」と呼」ぶと記されています。

また、経済産業省(中小企業庁)の規定する事業継続力強化計画とは、「中小企業が自社の災害リスク等を認識し、防災・減災対策の第一歩として取り組むために、必要な項目を盛り込んだもので、現在及び将来的に行う災害対策などを記載するものです。(田中補記/事業継続力強化計画の)認定を受けた中小企業は、防災・減災設備に対する税制措置、低利融資、補助金の加点措置等を受けることができます。」とされています。ロゴマークの活用が許可され、中小企業庁HPで認定企業として公表されます。さらに「事業継続力強化計画の認定を取得した事業者のリスク実態に応じて、損害保険会社等では、保険料等の割引を行い、中小企業の事業継続力の強化を後押ししています。」(出典:令和7年2月27日版 中小企業等経営強化法-事業継続力強化計画認定制度の概要)

大企業は別として、多くの中小企業の経営者様にとって、BCPは究極的には事業承継でもあるはずです。なぜなら、大規模自然災害や感染症のパンデミック等の有事の際、経営者自身が業務遂行不能になる、最悪の場合落命するケースだってありえるからです。従って、司令塔を突如失った組織がいかにして存続し続け、事業を継続するのかという点まで突き詰めて考え、そのための手段や計画を予めイメージしておかなくてはなりません。

企業経営者は、従業員等の安全を守る安全配慮義務と企業価値を損なわないようにするための善良なる管理者の注意義務を負っています。しかし一般に、中小企業の経営者はみな多忙であり、会社を挙げてBCP策定に時間と労力を注ぐことは、それ自体が難しい経営判断の一つになると思われます。目の前にやるべきことがもっとたくさんあるはずです。BCPは確かに誰かがやらなくてはならない、絶対にあった方がいい、しかしいつ発生するか分からないことを想定して、対処方法を構築することに今取り組む時間も労力も惜しい、ましてや自分が死んだ後のことなんか想像したくもない、そんなジレンマを解消するために、私たち行政書士がいます。ではなぜ、BCP策定に行政書士が役に立つのでしょうか?理由は大きく3つあります。

理由その① 行政書士の本業そのものであるとはどういうことでしょうか?

BCPを発動するときは、既に異常事態が発生しているときです。上述の通り、大規模自然災害や感染症パンデミック等です。そしてそのような異常事態に私たち市民が頼るのは、行政機関以外にはありえません。行政書士法には次のように規定されています。

行政書士法第一条 この法律は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もつて国民の権利利益の実現に資することを目的とする。

普段から、行政に関する手続の円滑な実施に寄与することが私たち行政書士の役目です。有事の際にはなおのこと重要な役目になります。行政と市民との懸け橋である行政書士の目線はBCP策定にあたっても必要なポイントになります。なお、被災された方には罹災証明が必要ですが、行政書士はその申請をお手伝いすることができます。罹災証明発行まで視野に入れてBCP策定をお手伝いすることができるのは私たち行政書士の強みでもあります。

さらに、BCPで必要となる最大の経営資源がおカネです。例えば高額な非常用電源を設置しても足許ただの1円の収益も生み出さないどころか、初期費用はもとより、維持費(燃料を定期的に交換する等)もかかってきます。東京の場合、BCPで必要となる経費の一部を東京都中小企業振興公社さんが助成されるプログラムがあります(令和6年度公募は終了)。私たち行政書士は本業として、補助金・助成金の申請をサポートすることができます。BCPで先立つものはおカネです。

そして万が一被災してしまった場合には、復旧に必要な補助金の申請をお手伝いすることができます(但し、原状復旧が原則で、被災前よりスペックの高い設備を補助金で調達することはできません)。最悪のシナリオとして被災した場合にも、原状復旧の補助金申請がスムースにできるような準備(資産台帳の整備や納税を期限内に済ませる等)をしておけば対策として万全です。そうした申請の勘所をわきまえているのが行政書士の強みです。つまり、いざというとき私たち行政書士は手を動かすことができるのです。

理由その② 遺言・相続等企業経営者が直面する民事法務でのサポートとは?

最悪の想定として経営者が死亡する事態にも備えておかなくてはなりません。中小企業にとってBCPとは事業承継そのものです。一般に、事業承継のトリガーは経営者の相続ではないでしょうか?しかし、相続が発生してから事後的に対応するのでは遅いかもしれません。経営者自身の意思(遺志)を伝えるために最も有効な手段は遺言を作成することです。遺言は相続を円滑に進めるうえで有効ですが、民法の規定する遺言は厳格な形式主義です。形式要件を満たさない遺言は相続どころか”争族”を惹起してしまう可能性さえあります。従って、遺言を作成するなら、形式面で不備のない確実な方法を取る必要があります。私たち行政書士は、公証人と協働して、公正証書遺言の作成や、遺言執行者就任までお引き受けすることができます。

理由その③ 外国人の雇用等、経営に直結する課題でのサポートとは?

BCPを発動しなくてはならない事態が発生した結果、人員不足が生じる可能性があることを視野に入れてBCPを策定しなくはなりません。代替人材は必ずしも日本人とは限りません。外国人材を探すことになるかもしれません。私たち行政書士は、外国人就労資格の取得において、一定の届出をすることを条件に、外国人本人やその雇用者(ここではBCP策定を検討されている企業様)に代わって、出入国在留管理局へ出頭したり、オンラインで外国人の在留資格取得のための申請を代行することができます。そしてオンライン申請であれば、遠隔の非被災地に所在する行政書士でも申請することができます。例えば私が被災して業務を遂行できなくなっても、山口県(私の郷里)に在住するほかの行政書士に仕事を依頼することを予めお約束しておくこともできるのです。もしも、東京都と山口県が同時に同規模で被災するような大規模自然災害が発生してしまったら、その時はもうBCPを発動するまでもないでしょう。そこまで想定する意味はないのではないかと思います。

2.なぜ私がBCP策定をお手伝いするのかと申しますと

先天的な気質として私はとても小心者で極度の心配性だからです。でもこの特性をせっかくなので何かに活かす手段があるのではないかとずっと考えていました。

2024年元日の能登半島地震発生後、すぐに非常用リュックの中身をアップデートしました。太陽光と人力で発電するラジオを新調したり、モバイルバッテリーを充電したり、携帯充電できるLEDランタンが動くかどうか確認したり。いまも常に2リットルボトルで48本くらいの水を備蓄しています。狭い我が家にとってかなりのスペースを食いつぶす代物です。

後天的に得たものとして海外生活での経験が大きく影響しています

私は3か国で合計11年間の海外生活を経験しました(Profileご参照)。海外生活では、自分と家族の安全確保が第一に求められます。日本で暮らす上では必要ない緊張感を持つ必要があるということです。ただでさえ小心者ですので、日ごろからいろいろな治安対策を講じていた自信があります。おかげさまで、住んでいた3か国では一度も危険な目に遭うことはありませんでした。ただし旅行で訪れた南米の某2か国で、1度づつ軽微な強盗未遂に遭ったことがあります。ここでは言えませんが。

たとえば私が暮らしていた1990年代末のスペインでは、駐車する際、ハンドルとサイドブレーキを特殊な機材で車内でロックすることや、カーステレオの着脱式操作パネルをダッシュボードに隠すことが常識でした。車内には荷物を置かず、トランク等に移してクルマから離れないと、すぐに車上荒らしに遭ってしまう危険がありました。会社の同僚が日中路上で首絞め強盗に遭ったこともありました。

2005年から3年半暮らしたメキシコでは、夜間はもちろん、日中もクルマ移動で、1日千歩しか歩かないことが普通でした。そしてメキシコは有数の地震大国です。当時勤めていた会社のオフィスはメキシコシティに所在していました。メキシコシティはかつて湖だった場所を埋め立てて造られた町で1985年に大地震を経験しています。そのためいつまた発生するか分からない大地震に備え、その会社ではメキシコシティから離れた場所に災害時用ミラーオフィスを設置していました。いわゆる Disaster Recovery Siteです。幸か不幸か私が駐在している間に、ミラーオフィスが役立つことはありませんでしたが、定期的に稼働環境をチェックしていました。ミラーオフィスの存在が当時の経営陣はもとより、従業員にとっても多大なる安心感をもたらしたことは言うまでもありません。

メキシコから帰国後に都内で勤務していたとき、東日本大震災が発生しました。この経験をされた方は誰もみな生涯忘れることはできないと思いますが、私もその一人です。たまたまメキシコからの来訪者であるメキシコ人のお客様をアテンドしていたときに地震が発生しました。幸か不幸か、3名のメキシコ人のお客様はみなさん1985年の大地震を経験された方だったので比較的落ち着いていて、2時間程度オフィスに留まっていただいたのち、15階から非常階段で出口までお連れして、お別れしました。別れ際に「Mucho gusto mucho susto (発音はムーチョ・グスト ムーチョ・スストで、意味はお会いできてよかったです。むちゃくちゃ驚きましたけど)」というメキシカンジョークを飛ばす余裕すらある方々でした。私自身は皇居そばにあったオフィスから13キロ離れた自宅まで革靴で3時間徒歩で帰宅しました。防災対策を講じていたので、幸い家具等の転倒もなく、被害はありませんでした。

直近では2016年から4年間暮らしたペルーでは、時間と場所を選べば徒歩での外出は可能でした。ただし歩きスマホは厳禁でした(強盗のターゲット)。不幸にも身近な人が拳銃強盗に遭ってしまったこともありました(幸いケガはなし)。常に緊張感を忘れず暮らしていましたが、それでも、頑丈なチェーン錠をかけて駐輪した自転車がわずか一時間で盗まれたこともありました。

こうした状況下、コロナが世の中に出現しました。ペルーでは、第1号感染者発生からわずか10日で非常事態宣言が発出され、厳格なロックダウンが敷かれました。街頭には自動小銃を持った軍人が出動し、一般人の外出は生活必需品の調達時のみに制限されました。そしてロックダウン発動から間もなく、日曜日は全く外出できなくなりました。しかし当時勤めていた会社では、コロナが出現するずっと前から、リモートワークの稼働訓練をしていたのです。コロナ禍では、問題なくリモートワークに切り替えることができました。まさに備えあれば憂いなしを実体験しました。私は医療面で懸念のあったペルーから日本へ緊急帰国し、その後1年近く日本からのリモートワークを続けることになりました。時差の問題を体力でカバーしながらという条件は付きましたが、日本からでも仕事を続けることができました。

一般に新興国では大規模かつ長時間の停電発生も普通です。メキシコ、ペルーの両国では、オフィスはもとより、自宅アパートにも自家発電機が完備され、急な停電の不安はありませんでした。もっとも、あまりに頻繁に自家発電機に切り替わるので、自家発電機が故障してしまうという憂き目にも遭いましたが。現代社会ではスマホのバッテリーが切れることはライフラインの途絶を意味する恐怖です。日本では停電がそもそも少なく、停電しても復旧が素早いので、あまり自家発電機は一般的ではないと思います。しかし有事の際に電気がなければ、ほとんどのオフィスや家庭ではおそらく水も飲めなくなります。

こうして日本とは違うレベルの不安や不便と向き合いながら生活し、仕事をした経験上感じるのは、「日本はまだまだ無防備である」ということです。本来、自然災害の発生リスクが高い日本はもっと備えなくてはならないはずですが、まだまだ浸透していないと感じます。いつ発生してもおかしくない自然災害(今シーズンの豪雪も地球温暖化がもたらす皮肉な自然災害です)への備えをしておきたい、と切に望みます。

現代日本では当たり前のことでも世界的に見ればとても恵まれていることはたくさんあります。世界的に見て信じられないほど治安が良く、マナーエチケットも素晴らしい我が国の特質は、それ自体とても価値あることです。日本が誇る”安心・安全・清潔”という社会的価値は未来に連綿と受け継いでいかなくてはならないものです。

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